「会議で発言するのは、一部のメンバーだけ」
「管理職がプレイング業務に追われ、部下の育成や組織の自走まで手が回らない」
「言われたことはやるが、自ら問題を見つけて動く管理職・リーダーが育たない」
こうした悩みの本質は、会議のやり方や仕組みの問題ではなく、「管理職がどう関わっているか」にあります。
これまで優秀なプレーヤーとして成果を出してきた管理職ほど、部下に対して「正解(アドバイスや指示)」を教えようとしてしまいます。悪気があるわけではなく、それが一番早いからです。ただ、上司が答えを出し続ける限り、部下は「自ら考えること」をやめ、指示待ちの姿勢から抜け出せません。
このような問題に対して、管理職向けにコーチングや1on1研修、リーダーシップ研修を行っているという話を聞きますが、なかなか手ごたえを感じられていないようです。
管理職が抱える、3つの壁
外部講師を呼んだ管理職研修で、架空の事例を使うケーススタディを行うと、「頭で分かる」ところまでは行けても、現場での関わり方が変わるところまではなかなかいきません。研修という非日常での学びは日常(普段の現場)に生かされない悩みを多くの組織が抱えています。
その理由は、管理職が3つの壁に当たっているのにその問題を直視することなく、新たなスキルを導入することで問題を解決していることにあります。
- 「教える・指示する」以外の引き出しがない
部下の話を最後まで聞き、本音や課題を引き出す「問いかけ」に慣れていない。 - 目の前の火消しで終わってしまう(シングルループ学習)
起きた問題にその場しのぎの指示を出すだけで、「なぜこの問題が繰り返し起きるのか」「この問題の根っこにある、気づけていない課題は何か?」という問いを立てられていない - 「自分で考えてほしい」と思いながら、答えを出してしまう
「どうすればいいですか」と聞かれると、つい答えてしまう。それを繰り返すほど、部下は「聞けば答えが返ってくる」と学習していきます。
必要なのは、新しい知識を増やすことではありません。管理職自身の「関わり方:指示する、問題解決を急ぐ、部下の話を深く聞けないなど」そのものを変えることです。
アクションラーニングという会議手法
これらの問題を解決する方法は、一般的な研修とは違うやり方です。
「アクションラーニング」という、答えを教えるのではなく、お互いへの質問を通じて本人たちに答えをつくらせる進め方が解決のきっかけになると考えます。
もとになっているのは、イギリスの学者レグ・レバンスの考え方です。
GEがジャック・ウェルチの時代に経営者教育に取り入れたことで広まり、日本でもキリンビール(40部署・1000名以上が体験し、社内にコーチを育成)やトヨタ自動車のレクサス理念浸透プログラム、富士ゼロックス総合教育研究所、パーソル総合研究所など、実際に導入されてきた歴史があります。
やり方はシンプルです。少人数のチームで、実際に今困っている業務課題を持ち寄ります。
参加者に許されているのは「アドバイス」ではなく「質問」だけ。答えを教え合うのではなく、質問を重ねることで、本人が自分の思い込みや前提に気づき、真の課題を自分の言葉で掴み直していきます。最後は、誰かに与えられた解決策ではなく、自分で考えた行動計画を持ち帰ってもらいます。
アクションラーニング会議では質問と傾聴を行うため、心理的安全性が保たれた環境の中で、管理職やリーダーが自らの前提や価値観の誤りに気付き、変容が起こりやすくなります。
架空の事例ではなく、今まさに現場で起きている課題を扱う。ここが、一般的なケーススタディ型研修と大きく違う点です。
従来の研修・コーチングとの違いを整理すると、次のようになります。
| 比較軸 | 従来の研修(知識注入型) | コーチング | アクションラーニング(質問会議) |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 一般的な知識やフレームワークを体系的に学ぶ(インプット) | 個人の目標達成に向けて、自発的な思考や行動を促進・支援する | 現実の組織課題の解決、リーダーシップ開発、組織学習を同時に実現する |
| 実施人数・形態 | 講師による一方向の講義・座学中心(多人数向け) | 主に1対1(1on1など)の双方向の対話面談 | 4〜8名の多様なメンバーによる少人数グループでのセッション+現場実践 |
| 扱うテーマ・題材 | 仮想のケーススタディや一般的な実務知識 | 本人が抱える個人的な目標、悩み、キャリアの課題 | 組織や個人が直面している、正解のない「リアルな現実の重要・緊急課題」 |
| 対話のルール | 講師が教え、受講者が聞く(または質問する)講義形式 | 傾聴、質問、フィードバックによる自由な対話 | 「意見を述べてよいのは、質問に対する回答を行うときのみ」という厳格な制約 |
| 現場での定着度・成果 | 現場に戻ると使われないことが多く、行動変容は限定的 | 本人の自発性やコミュニケーション能力などの個人スキル向上 | セッション中に具体的な行動計画を立てて実行するため、実務成果と組織学習が定着しやすい |
この関わり方が変えるもの
指示待ちから、自分で動くチームへ
管理職が「答えを教える人」から「問いで考えを引き出す人」に変わっていきます。そして、部下が自分で問題に気づき、自分で動く場面が増えていきます。
管理職自身の負担が減る
現場の判断を部下に任せられるようになるほど、管理職はプレイング業務に追われる状態から抜け出しやすくなります。
部署を超えた、管理職同士のつながり
自分の課題を持ち寄って話す場は、他部署の管理職と本音で相談し合える関係もつくります。
進め方
管理職の関わり方は、一度の研修では変わりません。少しずつ、確実に定着させる進め方をとっています。
- まず小さなチームで試す(4〜8名程度)
実際に困りごとを抱えている管理職チームで、まずは実践してみます。数回のセッション(会議)で、対話のしかたが変わっていくのを実感していただけます。
そして効果を実感された場合、次にセッションを数か月間繰り返します。
*オンライン対応可能 - 現場での実践と振り返りを繰り返す(数ヶ月単位)
セッションと現場での実践を行き来しながら、一時的な体験で終わらせず、日々のマネジメントの習慣にしていきます。
*オンライン対応可能 - 社内で回せる状態をつくる
最終的には、外部の伴走がなくても社内で対話のサイクルを回し続けられる状態を目指します。
Q&A:研修とアクションラーニング、どちらを導入すべきか
Q. 研修とアクションラーニング(AL)は、どちらを導入すべきですか?
研修とアクションラーニング(以下、AL)のどちらを導入すべきかは、「解決したい課題の性質」「対象者」「期待する成果」によって明確に分かれます。どちらを導入すべきかを判断するための4つの基準と、それぞれの導入に適したケースを整理しました。
1. どちらを導入すべきかの「4つの判断基準」
① 扱う「課題」の性質は何か?
- 従来の研修:業界の基本知識や財務、コンプライアンスなど、学ぶべき「明確な正解や体系的なフレームワーク」が存在する場合に適しています。
- アクションラーニング:新規事業開発や組織改革など、「前例や明確な正解がなく、VUCA環境における複雑な現実の課題」を扱う場合に向いています。
② 期待する「成果(ゴール)」は何か?
- 従来の研修:受講者の「知識の習得や理解度の向上」が主目的であり、インプットの質を重視します。
- アクションラーニング:研修の中で具体的な改善案をつくり、現場で実際に検証する「具体的な実務成果(行動計画の実行、業績貢献、コスト削減等)」を直接求めたい場合に向いています。
③ 育成したい「能力」は何か?
- 従来の研修:専門知識、ビジネス文書の書き方、PCスキルなど、個人に閉じられた「定型的なテクニカルスキル」を効率よく身につけさせたい場合に最適です。
- アクションラーニング:「問いを立てる力」「傾聴力」「多角的な状況判断」「合意形成」「巻き込み力」など、不確実な状況でチームを導く「実践的なリーダーシップやソフトスキル」を鍛えたい場合に向いています。
④ 「組織風土」にどのような変化を起こしたいか?
- 従来の研修:個人の能力開発に特化しており、組織の文化や関係性を直接変える力は限定的です。
- アクションラーニング:「部門間の壁(サイロ化)の打破」「受け身(指示待ち)文化からの脱却」「心理的安全性の高い対話風土の醸成」といった、「組織開発(OD)や関係性の変革」を狙いたい場合に向いています。
2. タイプ別:どちらを導入すべきか?
📌 【従来の研修】を導入すべきケース
- 新入社員に対して、ビジネスマナーや社会人の基礎知識を一斉かつ効率的に教えたいとき。
- 法改正に合わせたコンプライアンス知識など、全員が漏れなく「インプット」する必要があるとき。
- 実務での実践に移る前に、基礎的な理論や専門用語をしっかりと体系的に頭に入れたいとき(インプットが10%を支える基盤となります)。
📌 【アクションラーニング】を導入すべきケース
- 中堅・管理職・次世代リーダー層に対して、指示命令型ではなく「相手に考えさせ、チームの力を引き出す支援型リーダーシップ」を体得させたいとき。
- 「研修をやっても現場に帰ると実践されない(行動変容が起きない)」という課題を抱えているとき。
- 縦割り意識が強く本音が言えない組織で、心理的安全性をつくり、部門を超えた協働ネットワークを再構築したいとき。
- 現場で火消し(対症療法)ばかりが繰り返されており、メンバー自身に「真の問題(真因)を特定する力」をつけさせたいとき。
「指示を出す人」から、「問いで人を育てる人」へ。
管理職の関わり方が変わると、現場が少しずつ変わっていきます。
「社員の主体性を引き出せる管理職を育てたい」「自分で考えて動ける管理職を育てたい」とお考えでしたら、まずはお問合せください。
御社の課題をヒアリングした上で、その解決策にアクションラーニングが適切かどうか、判断できるよう助言させていただきます。
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