84.4%が『上の決定に従う』と回答──複数の公的調査が示す、伸びない組織の共通点

日本の組織が抱えている課題とこれまでにとられていた解決策とその結果、そして真に有効な解決策をとって成果を出している企業は何をしているのかを考えてみたいと思います。

日本の人事・組織戦略上の課題

リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、多くの組織が(回答の半数近くが従業員規模50~199名)
・次世代リーダーが育たない
・採用難、定着難(離職)
・リーダー以外の人材育成(能力を引き出せていないなど)
といった組織課題を感じていることがわかります。

出典元:成長企業における人材・組織マネジメントに関する実態調査

転職・離職理由

転職理由についてのリクルートマネジメントソリューションズの調査によると、
転職活動を経験した社員を対象とした比較調査において、一般社員が転職を考えたきっかけは「給与の低さ」(54.7%)が最多であるのに対し、ハイパフォーマー社員は「成長やキャリアアップの機会が限られていた」(41.3%)が最多となっています。

日本人労働者の自己投資意欲・成長意識

勤務先以外の場での自己研鑽意欲については、日本は「とくに何も行っていない」が52.6%と調査対象国のうち最下位となっています。

出典元:パーソル総合研究所 グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)

自身が今後習得したい・高めたいスキルについて、**日本は「スキルを習得したいとは思わない」と答えた人が29.3%(約3割)**に達し、米国(3.7%)を大きく上回りました。

出典元:Indeed Japan株式会社 労働者のスキルに関する日米調査

管理職になりたい人の割合(国際比較)

出典元:パーソル総合研究所 グローバル就業実態・成長意識調査

これらの組織課題の解決策やその効果は?

これらの課題に対して
・1on1
・サーベイ(アンケートなどの調査をもとに改善につなげる)
・マネジメント力向上研修
・評価者研修
・新たな制度の導入(テレワーク、フレックスタイムなど、ワークとライフの両立を狙ったものなど)
・リスキリング
・インセンティブ
などの対策が取られていますが、

出典元:経産省 持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書 ~ 人材版伊藤レポート ~

施策の中心となる人事部門の人たちの意見としては、人事戦略が経営戦略に紐づいていない(連動していない、接続していない、乖離している、分断している)というみかたをしているようです。

また、
・研修のやりっぱなし(研修転移の失敗)
・組織構造・人間関係の課題を無視した単発の研修や制度
・中間管理職の役割過多
 *課長の8割〜9割がプレイングマネジャー化していると言われています
・人的投資に対する「短期的なROI」の追求
 *現場の環境整備や定着のためには年単位の時間がかかる事があると言われています

このような理由から、人事戦略がうまくいっていない現状があります。

生産性を高め採用でも成果を出している組織が行っていることとは?

ここまで書いていて自分でも暗くなってきたのですが、これまでの御社の取り組み方のプロセスについて振り返ってみてはいかがでしょうか?

経営陣または人事が感じる組織課題(組織の現状を把握するためのデータをもとに)の抽出
 →人事が施策を実施する。

このようなプロセスで進めていないでしょうか?

なぜ、このようなプロセスで進められるのでしょうか?
そこにはどのような考え方や構造があるから、このようなプロセスで進められているのでしょうか?

それでずっとうまくいっていない現状があるのに、なぜ同じような事を繰り返しているのでしょうか?


ひとつには、日本の終身雇用制度が影響していると言われています。
欧米のようなジョブ型雇用と違い、日本では終身雇用制度が崩壊していると言われながらも、60%以上の方がその考え方がまだ残っていると感じているそうです。
自身が提供できる価値がそのまま雇用継続や報酬に繋がるジョブ型雇用と違い、終身雇用制度では自らのキャリアを設計していく意識が醸成されにくいと言われています。

まず、このような文化的背景があることを前提に考える必要があるように感じています。
ですから、キャリア思考が低い日本人に対してリスキリングや研修、人事施策を行っても、キャリアやスキルアップへの意識、そもそものモチベーションが低いのですから学習の定着率が低くなる可能性があります。

また、先ほど経営戦略と人事戦略が紐づいていないというデータを示しましたが、
現場が感じている課題感と経営戦略・人事戦略が紐づいていない可能性も十分にあります。

出典元:パーソル総合研究所 グローバル就業実態・成長意識調査

日本は権威主義・責任回避型であり、調査対象となった人の84.4%が、自分の会社にはとりあえず上層部の決定には従う文化があると答えています。その結果、主体性が育まれにくくとりあえず言われたことをやっておこう、という考え方になってしまっているのです。

ここで、うまくいっている組織を見てみると、
経営層や人事からの指示、施策に対して動かすのではなく、現場が感じている課題を現場主体で解決するアプローチをとっています。

長々と人事・組織課題とこれまでに実施されてきた解決策やその問題点を書いてきましたが、うまくいっていないのであれば今までの延長線(これまでの日本的慣習にのっとった施策)ではなく、全く違うアプローチをすればよいと思います。

具体的に、結果(生産性向上、残業削減、エンゲージメント向上、採用率アップなど)をだしている企業がなにをしているのか、私がこれまでに学んできたことやリサーチした結果などを踏まえてお伝えしますので、ひとつでもヒントになればとおもいます。

結果を出している組織が行っている取り組みの進め方

①現場の現在の働き方を見える化して把握する

現場が増やしたい・減らしたいと感じている仕事・働き方を抽出する

③上記の内容について、現場メンバーが要因分析をする
 増やしたい仕事が増やせていない原因は何か?
 減らしたい仕事が減らせていない原因は何か?
  *責任追及をするのではなく、どのような構造があるからそうなっているのかを考える
 増やしたい仕事をできている要因は何か?

④考えられる要因をもとに、現場主体で解決策を考え小さく早くPDCAを回す
  *現場主体でどこまで行ってよいのかの権限については経営層や人事との話し合いが必要な事もある


他、キーワード:痛みを伴うこともある、人事や経営層はサポートに回る、心理的安全性、現場主体で現実の課題を解決する中で、コミュ、対話、問題解決力がつく、これは組織の財産になる

データは現状の課題認識のためには役立つけれど、人に関わる問題は単純な因果関係ではないため、データは活動のきっかけにしかならない。

小さくPDCAを回すことが大切。

複雑適応系アプローチ

みらいは明るい