産業医を選任した後の人事担当者としてのTO DOリストは以下の通りです。
産業医選任後の人事担当者TO DOリスト
- 産業医選任報告書の作成と労働基準監督署への提出
- 産業医の氏名、生年月日、医籍番号などの情報を記入
- 提出期限は選任から14日以内
この厚生労働省のサイトで届け出るための書類を作成することができます。産業医から提出された履歴書を元に、生年月日や医籍登録番号(医師免許にも記載されています)を確認しましょう。
上記だけでなく、医師免許の写しと産業医の資格を持っていることを証明するための書類(修了認定書など)も必要になりますので、選任した産業医の先生から受け取ってください。
書類の作成で分かりにくいところは、上記の種別のところです。ここは産業医の先生に聞かないとわからないところになります。
例えば、産業医になるための研修を受けて産業医資格を取得した先生ならば Ⅰになります。産業医でありかつ労働衛生コンサルタントの資格も持っている先生ならば、Ⅱになります。多くはありませんが、産業医科大学の出身や産業保健に関する学校の先生(講師、准教授など)の場合は他の種別になります。⇒詳しくはこちらの2ページ目参照。
- 産業医との契約書の作成と締結
- 依頼する業務内容、報酬、守秘義務などを明記
- 専属か非専属かの取り決め
専属か非専属かについては1000人以上の会社で常勤の産業医として勤務してもらうか(場合によっては週に3~4日ほどのパート勤務)ある特殊な場合以外は、非専属になります。
- 社内での産業医の役割と権限の周知
- 健康診断結果に基づく就業上の措置の指導
- ストレスチェック制度や長時間労働者への面接指導
- メンタルヘルス不調者への対応と復職支援
私は顔写真入りの産業医の役割をまとめたPDFを用意してそちらを渡すようにしています。掲示板に掲示したり、朝礼などで読み上げるなどして、産業医とは何をする人なのかを従業委に周知してください。(これをしていない会社さんはとても多く、産業医を有効に活用できていません)
- 産業医と安全衛生担当者との連携体制の構築
- 定期的な情報共有の機会を設ける
- 産業医が現場を巡視し従業員と直接対話する機会を作る
- 産業医の活用方針と体制の整備
- 産業医に期待する役割と活動範囲を明確化
- 産業医の活動を支援するための社内体制を整備
- 従業員への産業医の存在と役割の周知
- 産業医の顔写真入りの掲示や社内報での紹介
- 産業医への相談窓口の案内と利用促進
この他にも、産業医の選任に伴う費用の予算化や、産業医の活動実績のモニタリング、定期的な見直しなども重要な取り組みとなります。
産業医の安全衛生委員会への参加は絶対に必要というわけではありませんが、できる限り委員会にも出てもらってください。
委員会では産業医が得意とする健康以外のテーマが話されることが多く、その時間が長いと委員会に参加したがらない産業医もたくさんいるようです。
しかし、産業医に会社が抱えている課題を知ってもらうチャンスですし、場合によっては産業医から助言をもらうこともできます。(会社のことを何も理解しようとしない産業医なんて、私だったら高いお金を払って頼みたくありません)
例えばよく遭遇するケースが委員会での労災報告やヒヤリハットです。
仕事中に交通事故にあったなどの話は産業医が助言する事はないと思われがちですが、そんな事はありません。
・長時間労働が原因で集中力が切れていたため事故をしたのではないか
・なんらかの薬剤を服用していて事故につながったのではないか(実際にそのようなケースに遭遇し、主治医先生に手紙を書いて投薬内容を変更してもらったこともあります)
・事故の原因は不注意ではなくなんらかの命に関わる病気(不整脈など)が起きたのかもしれない
働く方の健康診断結果の情報を元に、そのような助言をすることもできます。もしこのようなことをしなければ、事故の再発を防げないかもしれず、大きな労災であれば会社の信用に関わってきますし、労基署からは「産業医の先生がいると思うが意見をもらったのか?」と聞かれることもあります。
このような事があるため、忙しさやめんどくささを理由に委員会に参加しない産業医は実に怠慢だと思っています。
また、産業医を選任して安全衛生委員会に参加してもらう機会を利用して、委員会の本来の目的を皆さんで再確認したり、進め方について産業医から助言をもらうようにしてください。
安全衛生委員会の目的などは、労働安全衛生法にちゃんと明記されていますがそれを読んだことがない人がほとんで、なんとなく過去の慣習に従って委員会をしている会社がたくさんあります。
もし、委員会を「無駄だけど法律で決まっているから仕方がない」程度に開催しているのであれば、時間と給料の無駄だと思います。そうではなく、ちゃんと会社をよくするためにそして働く人を守るために委員会を開催すれば、きっと会社の魅力が上がっていくとおもいますし、私は専門家としてそのようなお手伝いをしたいと思っています。
参考リンク
https://www.mhlw.go.jp/content/000501079.pdf
安全衛生委員会を設置しましょう⇒必要最低限のことがコンパクトにまとまっています。
コメント