嘱託産業医依頼を受付中です

研修で話すと受講生の顔が輝きだす鉄板のネタ

産業医の杉浦です。

社員を見ていて・・・・子供を見ていて・・・・こんな風に思ったことはありませんか?

「どうしてこんなに簡単なことができないのだろう?」

そして、一生懸命やり方を教えるんですね。時には自分の教え方が間違っているのかと悩んだり、手本を見せた方がいいのかな?と思ってみたり・・・

でも、いっこうに変わらない。

そんな時は、やり方を変えてあげるのではなく、心構え、考え方(マインドセット)を変えてあげるとうまくいくことがあります。

実際にやり方を教えるのではなく、考え方が変わるように働きかけることで驚くほどの結果を出している人がいます。


例えば、カリスマコンサルタントの福島正伸さん。JALやバンダイのV字回復に関わったことで有名ですし、エクザイルグループにも関わり、またやり方を教えずして、数々の企業を上場に導いていることでも有名ですね。

また、僕がコンサルティングを受けていた人も、やり方を教えないでクライアントの成果をあげさせていました。同時にコンサルタントを受けていた仲間も、1年の間で信じられないくらいに成長し、これまで営業経験ゼロだった人がわずか1か月で数百万の売り上げをあげたりしてました。

僕も、医師ですから営業なんて学んだことありませんでしたが、この人のコンサルティングを受け、やり方は一切教えてもらっていないのに、1か月でセミナー開催して550万の売り上げをあげたことがあります。

このように、考え方(*マインドセットと呼ぶ人もいる)が変わるだけで成果が変わることがあるようです。脳科学的にもそうです。

ここでは、考え方の大切さを理解していただくために、僕が新入社員向けの研修をさせていただく時に、冒頭でお伝えしている話を紹介します。


この話をすると、受講生さんの目が輝きだします。
面白いと思ったら、社員さんに話してあげてください。

産業医が企業研修?と思われるかもしれませんが、メンタルヘルス不調からの復職の場合でもこれからお伝えする情報はとても役に立っています。

大企業は優秀な社員さんが入ってくるかもしれませんが、中小・零細企業の場合はそうとは限りません。やる気がない子、これまで頑張った経験がない子をしっかりと育てていく必要があると思います。

伸びる子や勉強熱心な社員、モチベーションが高い人は勝手に成長していきます。誰が上司になろうと関係ないかもしれません。そして優秀さゆえ、別の企業に転職することを考えていることもあるようです。実際研修先で、「あの子は優秀だから期待できる」と言われていた社員さんが、辞めていく姿も見ました。

このような事を避けるためにも、優秀な社員さんに目をかけるのではなく、これから成長していく可能性がある社員さんに目をかける必要があります。これからお伝えする話は、そんな社員さんが目を輝かせる話です。

全員に響く話ではないと思いますが、わずか数人でも、自信がなくモチベーションが低かった人が、「先生、頑張ってみようと思います」と言ってもらえることが嬉しくて、この話をしています。

~~~~~~~~~ここから~~~~~~~~~
例:プレゼンテーション研修の場合

皆さんの中に、「人前で話すのが得意だよ~~」という人はいますか?
いたら、手を挙げてください。

(まず、手が挙がらない・・・・)

では、
「人前で話すのがどちらかというと苦手かなぁ~」という方は、手を挙げてください。

(8~9割の人が手を挙げる)

「本当に苦手ですか?」
「本当に苦手なのでしょうか?・・・・まず、そこから考えていきましょう」

「この中に箸を使うのが苦手という方はいますか?・・・・・・・・いないですよね。
皆さん、箸を使うのは得意ですよね。

少なくとも、「僕はアメリカ人よりはうまいぞ!」って思いますよね?

では、箸を使うのが得意な皆さんにお聞きしますが、箸を使うのが得意になるために、
どれくらいの時間練習しましたか?

例えば、1回の食事で、20分間は箸を使うとします。

1日に3食、箸を使うとしましょう。一年でどれくらい箸を使っているか?と計算すると

365(日)X20(分)X3(回)=365 時間

365 時間、箸を使う練習をしたら、上手になりそうですかね?

(みなさん、頷く)

では、今皆さんが右利きだとします。左手で箸を使うのが得意だよ!という方はいますか?

皆さん、苦手ですよね。
*左利きの人はのぞく

では、左手でも箸を使うのが得意になるためには、どれくらいの時間が必要でしょう?
1000 時間?
500 時間?
365 時間?

一日に 3 回。毎回 20 分ずつ練習していたら、1年経てば 365 時間練習したことになります。
これだけ練習すれば、左手でも箸を使うのが上手になるかもしれませんね。

最初はぎこちなくても、だんだんうまくなっていって、あとは、使えば使うほど器用になっていくでしょうね。
豆を掴んだりとかも、できるようになると思います。

では今度。もう少し計算をしていただきます。

皆さんが生きてきた時間を計算してみてください。

30 歳の方ですと、
365(日)X24(時間)X30(年)
=26 万 2800 時間生きてきたことになります。

すごいですね。

30 歳の人は、約 26 万時間も生きているんです。

では、もう少し計算をしてみてください。

さきほどの箸の練習と同様に考えて計算してみてください。

これまでに、

人前で話す練習を、何時間してきましたか?




10 時間?

研修で練習したことがあるっていう人もいるかもしれませんね。

でもほとんどの人が、真剣に練習した時間がゼロ時間じゃないですか?

結婚式のスピーチとか、急に人前で話さないといけないということが数回、あったとしても

・ちゃんと先生についてもらって、
・指導を受けながら、
・人前で話す練習を何十時間もしたことがある

って、少ないと思うんですよね。

何をお伝えしたいかというと・・・

苦手と思っていることの多くは、練習時間が少ないだけっていうことが多いんじゃないかなって
思っています。

逆の言い方をするとですね。

ちゃんとした先生について練習をすれば、多くのことは、得意になれる可能性を秘めていると思うんです。

たとえば料理をですよ。
先生について、毎日1時間教えてもらったとしてください。

基本的知識、野菜の効率的な切り方、料理によってどのようなサイズに切るのがよいのか、簡単に使える隠し味、専門店の味を家庭で出せる秘訣などを聞いて学んで実践したら、(たとえば、毎日 1 時間、180 日間学んだとしたら)少なくとも 30 種類くらいは、かなり美味しい料理を作れそうじゃないですか?

この人、料理が苦手な人ですか?
得意な人ですよね。

さらにこの人は、10 種類目くらいまではぎこちないかもしれないけれど、慣れてくると、どんどん上達していきますよね。スピードもあがてくるし、効率もよくなってくる。

苦手じゃないんです。練習時間が足りていないだけなんです。

例えば、自己紹介が苦手な人って、多いと思います。

なぜなら、自己紹介の練習をちゃんとトレーニングしたことがないからです。

「1 分間、自己紹介をしてください」と言われても、皆さん「え~~」という顔をすると思います。
でも、

プロの先生にアドバイスを受けながら、1 分間自己紹介を 3 パターンくらい作るとします。仕事用とか、プライベート用とか。
それを、5 時間ずつ練習したら、かなり自信が持てるようになると思いませんか?

もう一度言いますね。

苦手なのではなく、練習時間が足りてないだけなんです。
今、皆さんが「自分は●●が苦手」と思っている事を書き出してみてください。そして、ちゃんと先生についてもらって、教えてもらった時間を書いてみてください。

ほとんどの事は、練習した時間が少なすぎるって気づくと思いますよ。

3 年ほど前にね、中学校の同級生から仕事の相談を受けたんです。「社長にプレゼンしないといけないけど、どうしよう・・・・」
って言うんです。

僕なりにできるアドバイスをしました。

そうしたら、『杉浦君は頭がいいからできるんでしょ?』と言われました。
ショックでした。

確かに僕は、相談してきた子よりは、中学時代に勉強していました。でも、それは学校の勉強であって、社会にでてから必要なスキルは、社会に出てから、何度も失敗しながら身につけました。

医者になれるくらいの人だからうまくやっているんでしょ?なんでもそつなくこなせるんでしょ?という人もいますが、医学の勉強以外は素人ですから。できるようになりたいことは人一倍努力をしました。

今でこそメンタルヘルス不調の方の復職面談をそれなりにできるようになりましたが、数多くの失敗をしてきましたし、「あの時の一言で気分を悪くしましたよね、ごめんなさい」と社員さんや会社の方に謝罪したことは何度でもありました。

企業向けの研修でうまくいかなくて、「すいません、もう一度やらせてください」と謝ったこともあります。そういう経験をしながら、スキルアップしていったんです。

学校の勉強だって、同じだと思います。

東大や京大に行く人は、さすがにちょっと違うのかなと思うことはあります。でも、英単語を 500 個覚えるくらいなら、やったかやらないかだけですよね。

最初はすぐに忘れてしまうけれど、だんだんと記憶力があがってきます。あとは、続けているかどうかですよね。
500 も覚えられない!という人がいるかもしれません。毎日一つずつ覚えたとして、500 日で覚えられます。

途中、忘れることもあるでしょうから、もしかしたら 700 日かかかるかもしれません。こういうことをやり遂げた人を自信がある人って言います。

最初から自信があるわけではないんです。コツコツとやり続けて、やり遂げたから自信がつくんです。

さて、先ほど苦手だと思ってることを書きだしてもらいましたよね?

では、先生についてもらってそれらを学んで、練習できるとします。
何時間くらい練習したら、そこそこのレベルになれると思います?

例えば、1 分くらいで自己紹介をしないといけない場面があると思いますけど、先生についてもらって、あなたを一言で表すフレーズを一緒に考えてもらって、多少の笑いもとれるような言い回しを考えるとします。

それを何時間くらい練習すれば、そこそこ、自信をもってできるようになりそうですか?365 時間あれば、できそうですか?

(頷く)

では、1 回あたり20 分を、1日3回。365日続けたら、できますね。

多くの人が、上手な人や得意な人を見ると「すごいなーって」思うけれど、実は、本当に才能があって、さっとできるようになる人はごく一部。ほとんどの人が、陰でなんらかの練習をしていますからね。

苦手なのではなく、あの人に比べて練習時間が足りていないだけ。そう思った方が楽かなと思います。

苦手という言葉で片付けて、あなたの可能性を閉ざして欲しくないですね。
どのようなことでも、続けた先は、上達しかないのですから。

うちの子が何にでもチャレンジするのは、「●●●●●●●●」という考え方(マインドセット)を教えているから

という話をさせてください。

うちの子なんですが、幼稚園の年中さんの時から自転車に補助輪なしで乗れて、今小学校 1 年生なんですけど、連続逆上がりもできるし、跳び箱は 8 段跳べるし、スキーに行けばコブを滑っておりてきます。

「運動神経がいいんですよ!」と自慢しているわけではありません。
うちの子は、どのような事にもチャレンジするんです。諦めずに続ける子たちなんです。

さきほど研修の話のところでもお伝えしましたが、続ければ上達しますよね。

我が家では、どのような事でも「練習すれば上手になるよ。」ということを繰り返し伝え続けてきたんです。
自分は苦手とかできないという発想があまりないんです。

もしもうまくいかないとしたら、練習時間が足りていないだけ。チャレンジが足りていないだけ。って、考える子どもたちなんです。
(もちろん、泣き言を言う時もありますけど・・・)

だから、子どもたちを褒める時も、「上手だね」というよりも、「頑張ったからできるようになったね」とか、「練習したもんね」と言うようにしています。

例えば、鉄棒でできない技があるとしますよね。すると「パパ、どうしたらできる?」って聞かれるんですけど、答えないんです。そもそも僕にはわからないですしね。安易に親が答えを出さないでいると、自分たちで考えるようになるんですね。「こうした方がいいかな?」「うまい子(ユーチューブなどを見て)はこうやってる!」って。自分たちで答えを探そうとします。

そして、「練習すればできるようになるよね」って最後には言います。

左手で箸を使うという話をしましたけれど、僕が今やっています。

練習すれば上達するっていう姿を親が示すようにしています。

僕と一緒に食事をしたことがある人は、左手で結構上手に食べるのを見たことがあるかもしれませんね。
おそらく、100 日も経っていないと思いますが、かなりスムーズに使えるようになりました。

苦手と思う前に、「練習時間が足りてないだけかも?」そう考えるようにしてはいかがでしょうか?
では、プレゼン研修をはじめていきましょう。

~~~~~~~~~ここまで~~~~~~~~~

人材育成って面白いと思います。たぶん、ノウハウはたくさんあるけれど、諦めずにやり続けられるよう、見守ったり、励ましたり、自分が後ろ姿を見せたり、そういうことが一番大事なんじゃないかなって思います。

追伸:研修や OJT でたくさんのスキルを教えますよね。教育として大切なことですし、経営者や上司からしたら、少しでも早く上達して会社の仕事を覚えて欲しいから、一生懸命教えたり「見て覚えなさい」って指導すると思います。

でも、研修の仕事をしてきて(産業医としてメインの活動をする前は細々とですが、企業向けにコミュニケーション研修をしたり、社会人予備校でノート術を教えたり、最短で成果を出すコツなどを研修で教えていました)また社会人受験生を 4000 人以上指導してきてわかったことがあります。

自分には無理って思いこんでいる人には、何を教えても頭に入らないんですね。あるいは、ものすごく時間がかかります。
そこで、教える側が諦めてしまうことがあるんです。

この子は、自分に才能があるってことを信じているのだろうか?まずはそこを見極めること。自分の才能を信じている子は、脳にアドバイスを受け入れるスペースがありますから、よく吸収します。

でも、スペースがないと思っている子にはアドバイスがはいらないんです。だから、まずはスペースを作ってあげないといけないんです。

研修や指導をスタートする前に、まずそこをしっかりとやると人は伸びるんじゃないかなと思います。

産業医 杉浦

追伸2:我が子に伝えている考え方のひとつは、「練習すれば上手になる」「苦手ではなく、練習量が足りないだけ」です。何度も何度も繰り返し伝えました。
この考え方が子供たちにしみついてからは、ものすごく楽です。だって自分たちで練習量を増やそうと努力しますから。

といっても、嫌いな勉強の時は「これ、苦手だもん!」って言うこともありますけどね(笑)

追伸3:メンタルヘルス不調からの復職の話をしておきます。人間関係や仕事の質・量的負担感で抑うつ状態になり休職する方がいます。そして会社側からすると復職の際、「再発するのではないか?」と考えると思います。再発までいかなくても時々心の不調で突発休があると、仕事を任せずづらくなります。

多くの会社では復職基準をもうけていると思いますが、僕は働けるだけの生活リズムが整い、集中力や体力が回復しているのは当然のことですから、再発予防としてその人の考え方の癖に気づいてそれに向き合った行動ができているかも復職の条件と考えています。

例えば人に頼むことや相談が苦手でひとりで仕事や悩みを抱えやすい人は、そうなるような考え方の癖をもっています。それに対して助言をし、復職前も復職後も家族や上司の力を借りながらメンタルヘルス不調になりやすい考え方の癖を家庭生活や職場という実践の場で、より生きやすいくなるようにより仕事がしやすくなるように修正してもらうようにしています。

実践するのは本人ですし、それをサポートし続けるのは上司の役割だと思いますが(産業医が関われる時間には限界があるため)、再発予防のさわりの部分を助言するのは産業医の役割と思っています。

このような話はトレーニングを受けた心理の専門であるカウンセラーの仕事だと思いますが、残念ながらしっかりとしたトレーニングを受けたカウンセラーさんに出会えることは多くありません。

ですから、産業医だからといって医学のことだけ助言するのではなく、僕が学んできたことや経験してきたことが役に立てるのであれば、可能な範囲でありとあらゆる面からサポートできる産業医像を目指しています。

コメント

コメントする