嘱託産業医依頼を受付中です

新型抗うつ薬と認知行動療法についての研修

今日はヒルトン名古屋で愛知県精神科医会学術講演会に参加してきました。

産業医は各科の専門的知識を深く知る必要はありませんが、浅く広く全ての科の知識を持っている必要があると思います。
特に、最新の治療法については日々勉強が必要です。

時には主治医の先生の治療法に対して、「え?この治療法でいいの?」と感じることがあり、お手紙で治療方針についてお尋ねすることがあります。

以前は私傷病(仕事との関係性が低い病気)と言われたメンタルヘルス疾患が、今ではほとんどの会社で課題となっています。
産業医は医療の専門家として期待されているわけですから、メンタルヘルスについては特にしっかりと最新の知識を学ぶ必要があると思っています。

ただ、患者さんの治療が仕事ではありませんから、最新の医学知識を持ちつつ、

・専門家としてどのような判断をすれば会社にメリットがあるか
・専門家としてどのような判断をすれば労働者にメリットがあるか

そのバランスを常に考え、独立かつ中立的な立場でいる必要があります。


研修風景

真面目だからではなく視力がよくないので、前の方を陣取りました。


今日はお弁当つきの研修です。
ラッキー

さて、本日学んだ内容で「ほんとそうだよな」と思った内容を1点書きたいと思います。

メンタルヘルス不調者の復職の際の復職基準について

多くの会社が復職基準を作成し、休職者に渡していると思います。

もしも復職基準を作っていない場合はすぐにでも作った方がよいです。
50人規模~数千人規模の会社での経験がありますので、そちらのお手伝いもできると思います。

復職基準の中には
・就労時間にそった生活リズムが整っている
・就労に耐えられてかつ睡眠で回復できるだけの体力がある

というような基準があると思いますが、メンタルヘルス不調者の復職基準で特に大切だと思うのが、

再発予防を実践しているかどうか

です。

会社としては社会復帰できるくらい病気がよくなっていることはもちろんですが、再発して欲しくないと思っています。
(当然、本人も家族も)

しかし、再発予防のアドバイスをしていない主治医もいます。
もちろん、投薬を継続することで再発予防になるというエビデンスはありますが、薬以外の再発予防も必要です。

具体的には、なんらかの再発予防策を日常で実践しているかどうかが大切だと思います。

金銭的理由などがあって早く復職したいがために、再発予防策を考えてくる人はいますが、それを実践していなければ何も意味がありません。

「再発予防策に取り組んでいます!」

ということを行動で示してもらい、上司や同僚、会社に安心してもらうのは休職者の役割だと思っています。

そして、認知行動療法を受けている方の場合、日常で取り組むなんらかの宿題を出されると思うのですが、その宿題に取り組んでいる人の方が治療効果が高いのです。

ですから、復職基準では

再発予防について主治医と相談しているかどうか

ではなく、

再発予防について主治医などから助言をもらい、実践できていること。

これを復職基準に入れた方がいいと思いますし、復職の面談で上記についてちゃんと確認するのが専門家としての産業医の役割だと思っています。

産業医 杉浦